ベストセレクション2014 その3
今月は今年1年間の記事のなかから、わたしが特にお伝えしたい内容のものをピックアップしてお届けします。(記事は若干の修正を加えています)
では、ベストセレクション2014 その3 を どうぞ!
●お金よりもうれしいもの
「リクルートのように、営業マンのモチベーションを上げるにはどうしたらいいでしょうか?」
よく聞かれる質問です。
「やっぱりインセンティブをたくさん出すことでしょうか?」
そう聞く人も少なくありません。
そんなときわたしは
「はっきり言ってお金だけでやる気は出ません。出たとしても一時的なものにすぎません。」
と答えます。
実際、リクルートの営業マンはびっくりするぐらいよく働きます。
自他ともに認める「なまけもの」のわたしですら、リクルートにいるときはものすごく働きました。
けっして、鬼のような上司に脅されて働いていたわけではありません。
「なんだかわかんないけど、気がついたらめちゃくちゃ動いていた」 というのが一番しっくりくる表現かもしれません。
仕事を楽しんでいたというのともちょっとちがう気がします。
そんな余裕はありません。
渦中にいるときは、もうしんどくて一刻も早く逃げ出したいくらいでした。
では、いったいなぜそんな思いまでしてリクルートの社員はよく働くのか?
複合的な要素があるので一概に「これ」というのはむずかしいと思いますが、ヒントのひとつになりそうなものに「表彰状」があります。
わたしがいた部署では、期が終わると目標達成会という打ち上げパーティーが行われ、そこでリーダーからがんばった人に表彰状が贈られるのが習慣でした。
この表彰状がただものではないのです。
文章はすべてリーダーが自分で考えます。
内容は、表彰される人がいかに目標を達成するためにがんばったか、どうやってピンチを乗り越えたかといったエピソードはもちろん、この期間にどれだけ成長したかといった話や、あえて成長する前がいかにひどかったかなど、その人のキャラクターをふまえた話を笑いの要素も加えながら作っていきます。
ひとりひとりていねいに書いていくので、かなりの手間と時間がかかります。
それも通常業務が終わってからつくるので、作業が深夜におよぶこともあります。
メンバーに対する「思い」がなければできる作業ではありません。
ちなみに先日、わたしのクライアントさんにも目標達成会で表彰状をつくって渡すことを勧めてみました。
このクライアントは日本でも有数の大手企業で、もともとまじめで固い社風です。
とくに、わたしが担当したプロジェクトチームは、経験の浅い人と伸び悩んでいる人を中心に集められたチームで、スタート当初は営業会議で発言を求めても、ほぼ全員がうつむいて小さな声でボソボソしゃべるような状態でした。
しかし、半年かけてチームで力を合わせるマネジメント手法を身につけたことによって、リーダーとメンバーの関係がどんどんよくなっていき、じょじょに笑いも出るようになり、3ヶ月もすると見ちがえるように積極的な発言が飛び交うようになり、半年後の売り上げは目標の4倍を達成するまでに成長したのです。
これだけ劇的に変化したプロジェクトチームの目標達成会であれば表彰状もいけるのではと考えての提案でした。
その結果は?
わたしの想像をはるかに上回るものでした。
表彰状の内容については、あえて細かい指示を出さずにリーダーたちにおまかせしたのですがこれが素晴らしかった!
おそらくこんな表彰状は書いたことがないのはもちろん、自分がもらったこともないはずなのに、リーダーが感じた営業マンそれぞれの半年間の成長が、象徴的なエピソードとともに語られていて、しかもしっかり笑いもとれる内容になっていたのです。
そうとう時間がかかったことは容易に想像ができました。
わたしが代読して営業マンに表彰状を渡す役目だったのですが、はじめて表彰状をもらった営業マンが思わず口にした言葉がとても印象的でした。
「こんなにたくさん書いてくれたんですか・・・」
リーダーはわたしに言いました
「はじめて、営業マンの成長を自分のことのように感じました。」
ここに答えがあります。
多くの人は、お金をもらうことよりも「達成感」を感じたいのです。
達成感を感じられる環境のなかで仕事をしたいのです。
達成感を感じられる環境というのは
・ひとつの目標を仲間と力を合わせて追いかけている
・自分のがんばりを見ていてくれる人たちがいる
・自分の成長をいっしょに喜んでくれる人たちがいる
という環境のことです。
もし、あなたがリーダーの立場にいるのなら、どうすればメンバーのモチベーションを上げられるかではなく、メンバーが達成感を感じられる環境をつくるために何ができるかを考えてみてください。
ベストセレクション2014 その2
今月は今年1年間の記事のなかから、わたしが特にお伝えしたい内容のものをピックアップしてお届けします。(記事は若干の修正を加えています)
では、ベストセレクション2014 その2 を どうぞ!
●営業は結果がすべて・・・か?
「営業は結果がすべてだ!」と、したり顔で言っている営業責任者の人をよく見かけますが、ほんとうにそうでしょうか?
なんだかかっこよく聞こえるセリフではありますが、わたしには「結果を見ることしかできないダメな上司です。」と自ら宣言しているように聞こえてしまいます。
結果がすべてというのと「結果しか見ていない」のは、まったく意味がちがうのです。
たとえばマラソンのコーチが、「2時間30分で走ってこい!」という指示だけ出して、トレーニング中に伴走もせずにゴール付近で待っていて、ランナーが目標を10分オーバーしたら「気合が足りない!結果がすべてだ!もっと死ぬ気で走れ!」と言っていたらどうでしょう?
そんなコーチ、一発でクビですよね。
これと同じことをやってしまっている人がいっぱいいるんですよ、営業の世界では。
結果を出したければ、必要なのは気合ではなく「プロセスをしっかり見る」ことです。
マラソンでいえば、スタートから10キロ地点までは1キロ○分○秒のラップをキープしてリズムをつかみ、10キロから20キロの地点までは○分○秒までペースアップする。25キロ地点の上り坂では○分のペースに抑えて体力を消耗しないようにする。等々
というように、プロセスごとに細かく計画を立てて、トレーニングで実際にやってみて、ほんとうに計画通りに実行できるかを検証する。
そうしたことをくり返すことで、20キロ地点までは計画通りに走れるが上り坂でペースが予定以上に落ちてしまうというようなことがわかり、上り坂でもペースを維持できる筋力をつける必要がある、というように課題を明確にした指導が可能になるわけです。
「結果を出せ」というだけだったら、誰でもできますよね。
「結果を出せ」と言われて結果が出るんだったら、そもそも上司なんかいりません。
多くの売れていない営業マンにとって必要なのは、
「どこでつまずいているのか?」を把握してくれて
「どうすれば結果が出せるのか?」をいっしょに考えてくれる人です。
結果が出ていない人は、気合が足りないんじゃなくて「途中の行動」がまちがっているのです。
今の市場は「行けば売れる」市場ではありません。
まちがった行動をしていると、いくらがんばっても売れません。
ひと昔前とはちがうのです。
わたしのクライアントの社長さんは、新規開拓がなかなかできなくて、せっかく採用した営業マンがすぐにやめてしまうといって嘆いていました。
さっそくコンサルティングを開始したところ、この会社は典型的な「売れ売れミーティング」をやっていましたので、即座に上記のマラソンの例のようにプロセスごとに計画を立てて、途中経過を把握して検証する手法を導入してミーティングのやり方を変えました。
このような方法を「プロセス・マネジメント」といいます。
結果よりも「途中の行動」に注目する方法です。
プロセスマネジメントでは、営業マンに対して「売ってこい!」ではなく「この通りの行動をしてきて、お客さんの反応をくわしく報告して」という指示になります。
むしろ、強引な売り込みはしないように指導をします。
こうして、「途中でどんな行動をすると どんな結果が出るのか?」という因果関係を調べながら、全員で売れるプロセスを見つけ出していきます。
結果は、ひと月も経たないうちに見ちがえるように新規の契約が取れるようになりました。
個人の力量にもほとんど左右されません。
そこの社長さんは「売れ売れ言ってるときはぜんぜん売れないのに、売りこむなと言うと売ってくるんですねえ。」と、自嘲気味に笑っていました。
そんなんです、営業は結果がすべてでなはく「プロセスがすべて」です。
あなたが営業の責任者なら
"途中の行動を把握して、売れるプロセスをつくって、結果を変えられる"
リーダーになってくださいね。
ベストセレクション2014 その1
早いもので、2014年も残すところあと3週間とちょっととなりました。
と、いうことで、今月は今年1年間の記事のなかから、わたしが特にお伝えしたい内容のものをピックアップしてお届けします。(記事は若干の修正を加えています)
題して「庄司メルマガ・ベストセレクション2014ちょこっと修正編」です。
では、どうぞ!
●こんなミーティングって・・・
わたしはクライアント企業のコンサルティングがスタートすると、まず営業ミーティングを見せてもらいます。
ミーティングのやり方を見れば、マネジメントのレベルがわかるからです。
これまでの経験からいうと、残念ながらほとんどの会社がまったく意味のないミーティングをやっています。
たとえばこんな感じです。
上司「はい、じゃあそれぞれ先月の結果を報告してください。まずAから」
営業マンA「はい、残念ながら先月も目標達成することはできませんでした。」
上司「う〜ん、まただめかあ。なんでいかないんだ?」
営業マンA「はい、先月は現状を打破するために、あらたに○○業界へのアプローチを強化したのですが、残念ながら思ったほどの反応がありませんでした。」
上司「それで、今月はどうなんだ?」
営業マン「正直言って、今月も引き続ききびしい状況です。」
上司「それで、どうするつもり?」
営業マン「はい、ただそうは言ってもやるしかないので、気合を入れなおしてさらに行動量を増やして目標必達でいきたいと思います。」
といったやりとりが数人の営業マンと行われ、言いわけのヘタな営業マンは餌食として怒鳴られたりします。
そして、最後に上司から
「とにかく、みんな気合を入れなおしてくれ。このままじゃほんとうに会社はきびしいんだからな!」
などと激がとばされ、みんなが深刻な顔で席を立つ。
こんなミーティングを毎月毎月くり返しています。
これ、どう思いますか?
こうやって文字に起こしてみるとよくわかりますよね。
いかりや長介じゃあないけど「だめだ、こりゃあ」ですよねえ。
では、このミーティングのどこがダメなのかわかりますか?
はい、そうですね
なにひとつ具体的な策について話されていないんです。
すべて抽象論、精神論で終わっているのです。
ちょっと見ていきましょう。
「アプローチを強化した」ってなんですか?
強化したっていうのは、トークやツールを変えたり新しく作ったりしたのか、それとも行動量を増やしたということなのか、もし行動量を増やしたという意味なら、今まで何件だったのを何件に増やしたのか?
「思ったほどの反応がなかった」と、言ってますが、思ったほどの反応ってどのくらいの数値を期待していたのでしょう?
それに対して実際はどのくらいで終わったのか?
「さらに行動量を増やす」って、どのくらいからどのくらいに増やすのか?増やすことでどんな結果を想定しているのか?
たったこれだけの会話の中ですら???がいっぱいなのです。
この上司と営業マンのやりとりに隠された本音は
営業マン「がんばってるんですけど、売れないんですよ。どうすれば売れるのか教えてくださいよ!」
上司「おれだってわかんないよ。だけどおまえらがやるしかないだろ、なんとかがんばれよ!」
と、言ってるわけです。
びっくりするほど多くの会社がこんなミーティングをやっています。
じつは、こうしたうわべだけのミーティングは、意味がないだけでなく参加者全員に無力感を感じさせてしまいます。
いっそのことみんなで飲みにでも行ったほうがよっぽどましです。
なぜ、こんなことになってしまうのか?
これは、すべて途中のプロセスを把握する仕組みがないために起こる現象なのです。
わたしはこのようなミーティングを「責任追及型」と呼んでいます。
前回お話ししたように「成長市場」の時代には、責任追及型のミーティングでもなんとかなりました。
行けば売れたからです。
しかし、複雑化した成熟市場では、もはや通用しないのです。
では、成熟市場ではどんなミーティングをすればいいのか?
成熟市場で必要なのは「問題解決型」のミーティングです。
プロセスを把握する仕組みをつくって、全員で検証しながらつねに改善策を立てて実行していく。
そういうミーティングをするために必要なのが、リーダーのマネジメントスキルなのです。
営業マンに激をとばすよりも、リーダーであるあなた自身のマネジメントスキルを身につけることが、ほんとうの問題解決につながるのです。
リーダーのあなたしだいで、チームは変えられるのです。
ベストセレクション2014 その1
早いもので、2014年も残すところあと3週間とちょっととなりました。
と、いうことで、今月は今年1年間の記事のなかから、わたしが特にお伝えしたい内容のものをピックアップしてお届けします。(記事は若干の修正を加えています)
題して「庄司メルマガ・ベストセレクション2014ちょこっと修正編」です。
では、どうぞ!
●こんなミーティングって・・・
わたしはクライアント企業のコンサルティングがスタートすると、まず営業ミーティングを見せてもらいます。
ミーティングのやり方を見れば、マネジメントのレベルがわかるからです。
これまでの経験からいうと、残念ながらほとんどの会社がまったく意味のないミーティングをやっています。
たとえばこんな感じです。
上司「はい、じゃあそれぞれ先月の結果を報告してください。まずAから」
営業マンA「はい、残念ながら先月も目標達成することはできませんでした。」
上司「う〜ん、まただめかあ。なんでいかないんだ?」
営業マンA「はい、先月は現状を打破するために、あらたに○○業界へのアプローチを強化したのですが、残念ながら思ったほどの反応がありませんでした。」
上司「それで、今月はどうなんだ?」
営業マン「正直言って、今月も引き続ききびしい状況です。」
上司「それで、どうするつもり?」
営業マン「はい、ただそうは言ってもやるしかないので、気合を入れなおしてさらに行動量を増やして目標必達でいきたいと思います。」
といったやりとりが数人の営業マンと行われ、言いわけのヘタな営業マンは餌食として怒鳴られたりします。
そして、最後に上司から
「とにかく、みんな気合を入れなおしてくれ。このままじゃほんとうに会社はきびしいんだからな!」
などと激がとばされ、みんなが深刻な顔で席を立つ。
こんなミーティングを毎月毎月くり返しています。
これ、どう思いますか?
こうやって文字に起こしてみるとよくわかりますよね。
いかりや長介じゃあないけど「だめだ、こりゃあ」ですよねえ。
では、このミーティングのどこがダメなのかわかりますか?
はい、そうですね
なにひとつ具体的な策について話されていないんです。
すべて抽象論、精神論で終わっているのです。
ちょっと見ていきましょう。
「アプローチを強化した」ってなんですか?
強化したっていうのは、トークやツールを変えたり新しく作ったりしたのか、それとも行動量を増やしたということなのか、もし行動量を増やしたという意味なら、今まで何件だったのを何件に増やしたのか?
「思ったほどの反応がなかった」と、言ってますが、思ったほどの反応ってどのくらいの数値を期待していたのでしょう?
それに対して実際はどのくらいで終わったのか?
「さらに行動量を増やす」って、どのくらいからどのくらいに増やすのか?増やすことでどんな結果を想定しているのか?
たったこれだけの会話の中ですら???がいっぱいなのです。
この上司と営業マンのやりとりに隠された本音は
営業マン「がんばってるんですけど、売れないんですよ。どうすれば売れるのか教えてくださいよ!」
上司「おれだってわかんないよ。だけどおまえらがやるしかないだろ、なんとかがんばれよ!」
と、言ってるわけです。
びっくりするほど多くの会社がこんなミーティングをやっています。
じつは、こうしたうわべだけのミーティングは、意味がないだけでなく参加者全員に無力感を感じさせてしまいます。
いっそのことみんなで飲みにでも行ったほうがよっぽどましです。
なぜ、こんなことになってしまうのか?
これは、すべて途中のプロセスを把握する仕組みがないために起こる現象なのです。
わたしはこのようなミーティングを「責任追及型」と呼んでいます。
前回お話ししたように「成長市場」の時代には、責任追及型のミーティングでもなんとかなりました。
行けば売れたからです。
しかし、複雑化した成熟市場では、もはや通用しないのです。
では、成熟市場ではどんなミーティングをすればいいのか?
成熟市場で必要なのは「問題解決型」のミーティングです。
プロセスを把握する仕組みをつくって、全員で検証しながらつねに改善策を立てて実行していく。
そういうミーティングをするために必要なのが、リーダーのマネジメントスキルなのです。
営業マンに激をとばすよりも、リーダーであるあなた自身のマネジメントスキルを身につけることが、ほんとうの問題解決につながるのです。
リーダーのあなたしだいで、チームは変えられるのです。
クライアントさんのスピーチ 2/2
前回に続き、日本経営合理化協会主催のセミナーにゲストとして話をしてくださいましたわたしのクライアントで某通信大手企業のYさんのスピーチから抜粋してお送りしています。
前回の内容 http://d.hatena.ne.jp/salespro1/20141118/1416295306
Yさんは、
・良い顧客の奪い合い
・会社に入る美味しいネタ情報の取り合い
・真面目な人が地道にがんばっても報われない
・若手が辞める
という負のスパイラルから、どのようにして抜け出したのでしょうか?
Q.コンサルティングがスタートしてはじめに取り組んだことはどんなことですか?
A.はい、庄司さんからはじめに言われたのは、「とにかく現場で起きていることを営業マンからよく聞くこと」でした。
あたりまえのことに感じると思いますが、そんなあたりまえのことすらやっていなかったんですね。結果だけ聞いて叱咤激励することしかしていなかった。
「なぜ、そうなったのか?どうすればもっとうまくいくのか?」については、まったく話をしていないという恐ろしい事実に気がつきました。(笑)
営業マンの話をよく聞くと、まだ結果には結びついていなくても彼らなりに工夫しているところが見えてくるんですね。たとえば、お客さんと話ができなくても今使っている設備を必ず確認してメモをしてきている人がいたり、お役立ち情報を自分で毎月作っている人がいたり。
そういう、小さな努力や工夫をしっかり取り上げてほめる。
その上で、他のメンバーとも共有して、チーム全体の成果に結びつけていく。
そんなことが、本来のリーダーの役割なんだと教わりました。
Q.どんな変化がありましたか?
A.営業マンとの信頼関係ができてきたことが何よりも大きいと思います。
とくに若手が元気になりましたね。動きが見ちがえるようによくなりました。
営業マンに現場で起きた"いいこと"を発表してもらう「ヒーローインタビュー」や、契約が取れた営業マンに「ありがとうメール」を送るようにしたことで、「見ててくれる」という安心感を持ってくれたのではないでしょうか。
今までは、「やれやれ」言うだけで、ほめたり感謝したりということを言葉にしていいなかったですね。
それにともなって、低迷していたチームの業績がものすごく上がって来ています。
もうひとつは、プロセスに焦点をあてて明確な目的を持つようにしたことだと思います。
今までは契約が取れたかどうかの最終結果しか見ていませんでしたが、今はプロセスで管理出来るので、途中経過について話ができるようになりました。
誰がどこのステップで躓いているか、データを見ればすぐにわかるので非常に有効なマネジメント方法です。
プロセスに分解すると、それぞれに弱いところがちがうことがわかり、各営業スタッフ毎にていねい、的確に指導していくことが重要なのだと理解できてきました。
たいていの会社は日報のような管理帳票があっても結果しか見てないから活用できていないケースが多いと思います。
答えは プロセスにあります。
また、チームで弱い部分と強い部分を協力して改善して行くことで、個人のスキルに依存しなくても結果が出せるノウハウが分って来たことは大きな収穫です。
あるチームでは朝、今日のステップまたは目的を明確に発表するようにしたりして意識付けすることで、今まではすぐに取れる案件の報告しか出してこなかったのが、現在進行中の案件の報告も出てくるようになり、可能性の高い案件に対しては事前にロープレをすることも定着してきました。
特にスキルの低い人へのその日の案件へのフォローが効果絶大で、契約数を大きく増やすことができたのです。
Q.今回の結果 目標の達成について
コンサルティングを受ける前は、年間目標の達成は厳しいと予測していましたが、結果的に対前年125%で年間目標を達成することができました。
スタート時の4〜6月は対前年90%だっとことを考えれば脅威的な変化で、当初の見込みよりも10億以上売り上げがアップした計算になります。
はじめは、コンサルフィがちょっと高いかなと思ったのですが(笑)まったく問題ありませんでした。
それどころか、庄司先生のコンサルティングは、契約が終了したあとも自分たちで売り上げを上げ続けられるノウハウを教えていただけるので、ほんとうにお薦めです。
我々と同じことで悩んでいる会社は山ほどあると思います。
わたしたちは、マネジメント次第でチームは変えられることを身をもって教わりました。
みなさんも、なんとか1年がんばってマネジメントのスキルを身につけて、今の悩みから抜け出せることを願っています。
今日はありがとうございました。
クライアントさんのスピーチ 1/2
先日、11月6日、日本経営合理化協会主催のセミナーに講師として登壇させていただきました。
去年に続き2度目の参加となった今回は、なんとわたしのクライアントのYさんが、ゲストスピーカーとして話をしてくださいました。
Yさんは、社名を聞けば誰でも知っている超大手企業の営業企画課長ですが「庄司先生に教わったことを、たくさんの人に伝えてゃー」と言って、わざわざ休みをとって名古屋から駆けつけてくれたのです。
その熱い内容に、100名近い参加者のみなさんの多くが共感していただいて、20冊ほど置いていたわたしの著書も完売してしまいました。
今回は、そのスピーチの内容を抜粋しておおくりします。
Q.どんな悩みをお持ちだったんですか?
A.はい、わたしたちの会社は図体はでかいのですが、社員がじょじょに高齢化してきて動きが鈍くなって新規開拓営業がむずかしくなってきていました。これでは競合他社にどんどん顧客を取られてしまいます。そんな状況を打開するために各エリアに20か所ほどの別働隊をつくったのです。
マネジャーやリーダークラスは本社からの出向、営業マンは現地で採用しました。
はじめは本社から実績のある社員を呼んできて2〜3年は売り上げが上がっていたのですが、実はそれも顔なじみのお客様に販売していただけでした。
結局、新しい人に新規開拓のノウハウを教えられる人はおらず、現場では
良い顧客や会社に入る美味しいネタ情報の取り合い→真面目な人が地道にがんばっても報われない→ 若手が辞める
という悪循環にはまっていきました。
Q.これまでにも研修やコンサルティングを受けたことはありましたか?
A.はい、研修やコンサルティングはいろいろ受けましたが、すべて個人の営業スキルについてのものでした。
コンサルタントの先生が同行してくれて、いっしょに営業してくれるというスタイルです。
一時的には売り上げが上がるのですが、ノウハウが組織で共有されることはなく、新人が育たず、売れない人はいつまでたっても売れないという状況は変わりませんでした。
そんな状況でも、わたしやマネジャーたちは「とにかく件数を回れ!」と叱咤することしかできませんでした。
しだいに上司と部下の信頼関係も崩れてしまい、喫茶店でたむろしたり、家で寝てたというような酷い営業マンも出てくるようになってしまいました。
今までお付き合いの有った先生では限界があるのではと感じ始めていました。
そろそろ組織として根本的な解決策を打たないと大変なことになるのではないかという思いが強くなっていきました。
そんなときに庄司先生のことを知ったのです。
Q.最初の印象はどうでしたか?
A.はじめてお会いしたときに、うちのカラーとはまったくちがったノリと雰囲気にものすごく期待が高まりました。もちろん、まだ半信半疑でしたけど(笑)
「営業はチーム戦で」という言葉に、ものすごく興味を惹かれました。それがどういうことかはまだ分かりませんでしたが、何か得も知れぬ期待感を感じたのです。
最初のマネージャー研修で
「みなさんのやってることは30年前のやり方ですよ。」
と言われたときは、まさに頭をハンマーで殴られたような衝撃でした。
問題は営業マンではなく、マネジメントのやり方にあるとはっきり感じました。
我々は大企業での長い生活の中で、上の人が黒と言えば黒という習慣になってしまっていた、理由が分からなくても従順にやる、それが当たりまえになっていたのです。
ところが、中途で入ってくる営業マンたちは、習慣も経験もまったくちがう人たちです。
そんな人たちに対して、頭ごなしの命令は通用しないということを思い知らされました。
そんな我々に、先生がまず教えてくれたのは
「何かをやるときは、目的をはっきりと伝えること」でした。
リーダーの基本スタンスは「ほめる 励ます 話し合う」だと教えられたときも、理由を言わずに急にほめたので営業マンにかなり気持ち悪がられたりしました(笑)
教えていただくことに強く共感するものの、今迄の習慣や考え方を変えるのはものすごく苦労しました。
定例ミーティングを開催するだけでもすごい反発があって、その説得だけでも2ヶ月もかかかってしまいました。
力のあるベテラン営業マンが裏で小ボスとして君臨していて、マネージャーが気を使っているような状態だったのです。
そんな状況をなんとかするために日曜 朝の5時等早くから3時間、質問や状況を庄司先生に真剣にメールでやり取りしました。非常に長文のやり取りに対応頂き感謝しています。先生の休日をかなりつぶしてしまったと思います(笑)
次号に続く
企業のリーダーたちへ
今回は、以前にわたしがクライアント企業のリーダーたちに送ったメールの内容をお送りします。
この会社は、誰でも知っている大手企業ですが、多くのリーダーが、新規開拓のために中途採用で入った社員たちとの関係がうまくいかずに悩んでいました。
そこには、大企業病ともいえる原因があったのです。
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○○株式会社 営業リーダーのみなさんへ
メンバーをイキイキと動かすためにもっとも大事なことは
「何のためにやるのか?」
つまり、目的をしっかりと伝えることです。
たとえば、コピーをたのむときでも、ただ「これ、コピー取っておいて」と言うのと
「これ、大事なお客さんへのプレゼン資料なんだけどコピーたのむね。」と伝えるでは、たのまれた人の行動に大きな差が出ます。
何のためにコピーを取るのか?がわかっていれば、
「あのお客さんが決まれば今月のチーム目標が達成できるはずだ。よーし、会社の印象
をよくするために、端をきっちりそろえて、ホチキスも曲がらないようにしっかり止めよう」
と、主体的な行動が取れるようになり、工夫の余地も生まれます。
主体的な行動は、必ず「いい仕事」に結びつきます。
その仕事に対して、
「すごくきれいにコピーしてくれてたね。おかげで、お客さんの評価も上々だったよ。きっと契約になると思うよ。助かった、ほんとにありがとう。」
というように、しっかりと結果の報告と感謝の気持ちを表せば、メンバーとのあいだに連帯感と信頼感も生まれます。
もしも、「これ、コピー取っておいて」としか言わなかったら、相手は「なんだよ、めんどくさいなあ。コピーぐらい自分でとればいいのに」としか思わなかったかもしれません。
コピーひとつとっても、「何のためにやるのか?」をしっかり伝えるだけで、これだけ結果に差が出るのです。
しかし、組織で仕事をしている多くの人がこんなあたりまえのことを忘れてしまいます。
それはなぜか?
組織では、いちいち「何のためにやるか?」なんて説明しなくても、上司が「やれ」と言えば、部下はやらざるを得ないからです。
組織が大きくなればなるほど、そこには厳密なヒエラルキーが存在して、役職による上下関係は強くなります。
会社が決めた上下関係があれば、とりあえず人を動かすことはできてしまうのです。
このことが、本来、人を動かすために必要な「何のためにやるのか?」を説明するという作業を忘れさせてしまいます。
もちろん、上司に言われれば部下は動くでしょう。
だけど、
「意味もわからずに仕方なく動く」のと、「目的をしっかり理解して主体的に動く」のでは、仕事の質に雲泥の差が出るのはあたりまえのことですよね。
優秀なリーダーは、チームで何かに取り組むとき、人を動かすときには、まず「何のためにやるのか?」を説明することに、ものすごいパワーをかけます。
事前に、説明の仕方や言い回しをしっかり考えて、メンバーが不安や疑問に思いそうなことをあらかじめ想定して、質問に対する答えも準備してからメンバーに伝えます。
あたかも大事な顧客にプレゼンに行く前のように入念な準備をします。
伝えている最中も、メンバーが理解できているか、納得しているかをしっかり見きわめながら、納得が不十分なようであれば言葉を足したり、納得いかない部分を聞き出したりして、メンバーの目が、確信で「キラッ」と輝くまで説明する努力をします。
「そんなめんどくさいことを」と思われるかもしれませんが、それが逆なのです。
これをやっておくで、あとが圧倒的にラクになるのです。
上司に言われたから仕方なくやる場合は、「めんどくさいなあ、まあ怒られない程度にやっておけばいいや」という意識が働きます。
このような仕事は、当然ながら「いい仕事」に結びつくことはありません。
しかし、「何のためにやるのか?」を理解して、自分の役割に納得して目が「キラっ」と輝いたメンバーは、その目的に対して積極的な貢献をしようと、自ら動き始めます。
「これ、こんなふうにしてみたらどうでしょう?」
「こんなやり方って、ありですか?」
などと、まかせておいてもアイデアがどんどん出てきて、最終的には、期待以上のびっくりするような成果を上げることがよくあります。
そのときのリーダーの仕事といえば
「うん、それはいいね、やってみて」とか「ああ、それはおもしろいアイデアだけど、ちょっと目的からずれるから少し修正が必要だな」とか、メンバーの作業の調整をしていくだけです。
人は「共通の目的」を持った仲間たちとともに働き、チームに「貢献できた」ことに、ものすごく喜びと誇りを感じます。
この感覚をつかんだチームは、何をやるときでもその快感を得たくて自発的に動くようになるのです。
メンバーが最高のやりがいをもって動き出せるように
「何のためにやるのか?」
を、意義とワクワク感をもってしっかり伝えられる力が、リーダーにとって、ものすごく重要なスキルなのです。
ぜひ、意識して動いてみてください。
庄司 充