できる人は教えるのがヘタって本当?

営業チーム強化コンサルタントの庄司充です


前回のメルマガで紹介した渡瀬さんの新刊

「超一流の 相手にしゃべらせる雑談術」

を読んでいるときに、ふと思ったことを書きます。


渡瀬さんの著書はどれも「営業に笑顔はいらない」「電話はテンションを
上げずにしゃべる」など、独自の視点でとらえたノウハウをわかりやすい
文章でまとめたもので、わたしもすごく参考になることが多いのですが、
今回のテーマである雑談については、私自身はこれまで真剣に考えたことが
ありませんでした。

それはおそらく、これまでとりたてて雑談でこまったという経験が
なかったからなのでしょう。

雑談を、スキルとして意識したことがなかったのです。

だから、雑談のスキルを知りたいという人が少なからずいるということには
ちょっとびっくりしてしまいます。

すると頭のなかに、こんな問いがうかんできたのです。

「では、そんなわたしは、雑談がうまくできずに悩んでいる人に
わかりやすく教えることができるのか?」

ちょっと想像してみましょう。


もしもわたしが誰かに「雑談って、どうすればいいのですか?」と
聞かれたとしたら、おそらくまっさきに浮かぶのは
「えっ?なんでそんなこと聞くの?」という思いでしょう。

たとえ、むりやり答えたとしても「何も考えずに普通に話せばいいだけだよ。」
というような抽象的でざっくりした答えになってしまうと思うのです。

自分が意識してやっていたわけではないから、悩んでいる人の気持ちが
わからないし、教えようと思っても自分でもどうやってできていたのか
わかっていないのです。

で、話はここからです。

そこで、ふと思ったのです。

「世の中の経営者や営業リーダーたちが悩んでいるのもこれと同じ現象なんだ・・・」と。

わたしのセミナーや研修に参加していただく人たちを見ていても、
営業の責任者になる人の多くは、自分が売れる営業マンだった人たちです。

行動力にすぐれ、自らいろいろな工夫をして、直感的に営業の精度を
上げていって高い実績を出せるようになったタイプの人たちです。

本人たちにすれば、夢中でやっていたらいつの間にかできるようになっていた
というのが本音でしょう。

しかも、自身をそんなに優秀な人間だとは思っていない謙虚な人が多いので、
売れない部下を見たときに、たとえばこんな思考になってしまうのです。


自分のようなふつうの人間でもがんばったらできた

教えると言っても、口で説明するのはなんだかむずかしい

でも、自分ができたのだから誰でもできるはずだ

数をこなして経験を積めばいいだけだ

なのに、どうしてできないのか?

行動量が足りないだけじゃないのか?

ということは、やる気が足りないだけじゃないのか?


で、けっきょくこのように「やる気の問題」という強引な理解で自分を
納得させようとしてしまいます。

その結果「もっとやる気を出せ!」という安易な叱咤激励になって
しまうのです。

しかし、残念ながら、やる気を出せと言われてやる気になる人は
ひとりもいません。

むしろ、やる気を失っていくだけです。

ハッパをかければかけるほどチームのモチベーションは下がっていく、
ほんとうに多くのリーダーたちがこのパターンにはまっています。

では、どうすればこのパターンから抜け出すことができるのでしょうか?

そのために、とても効果的な方法があります。

それは、「行動分解」という方法です。

行動分解というのは、できる人がやっている一連の行動を分解して、
ひとつひとつ言語化していく作業のことです。

たとえば

担当顧客をうけもったら

・まず、データで顧客の基本情報を調べる

・HPを見て情報を収集する

・前任者に先方担当者の特徴を聞いておく

etc

といった具合です。

さらに必要に応じて

・基本情報で把握しておく重要な項目は何か?

・HPでとくにチェックするのはどのページか?

などと掘り下げて行きます。

めんどくさいように思われるかもしれませんが、これが想像以上の成果に
つながることがよくあります。

これは、わたしのクライアント企業でビジネス電話の訪問営業を
やっている会社で実際にあった話なのですが、売れている営業マンの
行動分解をしてみたら、新規の会社に訪問した場合に、担当者に会えなくても
必ず事務所で使っている電話機をチラッと見てメーカーと型式とおおよその
使用年数をメモしていることがわかりました。

ただ、その人にとってはあたりまえのことすぎて、わざわざ教えるような
話でもないと思っていたのだそうです。

ところが、成績の悪い営業マンに聞くと、なんと5人中4人が
電話機を見てメモしておくという作業をしていませんでした。

行動分解をして、できる人とできない人のやっていることを比較していくと、
こうした細かいちがいがたくさん出てきます。

そして、そのちがいのほとんどは意識すれば誰でもできるレベルのことなのです。

実際にこのクライアント企業の売れない営業マンたちは、売れてる営業マンが
やっていた行動をひとつひとつ確認しながらマネをすることで、4か月後には
全員が目標を達成することができました。

つまり、気合やカンといった暗黙知で語られがちな営業の仕事を、
できるだけ言語化して形式知にするだけで、メンバーによるバラつきが減り
チームの底上げをすることができるということです。

しかも、できなかった人が、自分ができていなかった理由を理解した上で
できるようになると、渡瀬さんの雑談のように、教えることに関しては
もともと無意識にできていた人よりもうまいということがよくあります。

こうしてチームにいいサイクルが生まれて、よりいっそうメンバーが
育つ強いチームに育っていくのです。

9年目

こんにちは、営業コンサルタントの庄司です。

わたしが営業チーム強化専門のコンサルタントとして独立してから
今年で9年目に入りました。

早いもので、来年には10周年をむかえます。

ふり返れば、けっして準備万端でスタートしたわけではなく、
46才でリクルートを退社した後に、役員として参加した知人の会社が
うまく軌道にのらず1年間無収入が続き、そもそも無計画で、たいした
貯金もしていなかったわたしは食うために会社を離れるしかなくなって
しまったのです。

「これでだめならホームレスかも・・・」という状態からのスタートは、
たとえるなら、荒波にひとりで手漕ぎボートで漕ぎ出したような、先行きの
見えない不安いっぱいの船出でした。

それから約1ヶ月、今の自分にできることは何か?

どうすれば誰かの役にたてるのか?

それをどういう形で提供すればいいのかを必死で考え、本を読みまくり、
ネットを調べ続けました。


頭からケムリを出しながらたどりついたのが、経営者や営業責任者を
対象にした営業チーム強化専門のコンサルタントという仕事でした。

わたしがリクルートで徹底的に学んだことで営業強化の根本ともいうべき

「チーム運用のノウハウ」が、世間ではほとんど伝えられていないという
ことがはっきりとわかったのです。

「これは、やるしかない!」

驚いたことに、方針が決まるとすぐに会社を経営している友人が
コンサルティングを依頼してくれました。

続いて、リクルートの先輩や仲間が企業を紹介してくれました。

その後もクライアントがクライアントを紹介してくれたりして、
いつの間にか途切れることなく依頼がくる状態になっていました。

さらに独立から3年たったころには、仲間のコンサルタントのみなさんが
後押しをしてくれたおかげで自分の著書を出すことができて、
本を読んでいただいた人たちからも依頼がくるようになりました。

思えば、たくさんの出会いに恵まれて、ここまでやってくることが
できたんだなあと、あらためて感じます。

それを考えると、1年間無収入になってしまったことも「早く独立しろ」
という天の声だったのかもしれません。

これまでの8年間で、セミナーや研修に参加していただいた企業は
2000社以上、1年以上の長期で個別コンサルティングを受けていただいた
企業も30社を超えました。

とくに個別コンサルティングを受けていただいたクライアント企業の
多くは、依頼をいただいた当初の苦しい状態から完全に脱して順調に
業績を伸ばしています。

50代も半ばを過ぎて、これまでつみ重ねてきた自分の経験が、
多少なりとも誰かの役にたてているということは、とてもうれしく
ありがたいことです。

いっしょに営業改革に取り組んできたクライアント企業のみなさんとの
エピソードは、一社一社がドラマのように思い出されます。

そんなクライアント企業のみなさんとのエピソードも、今後、この
メルマガでも紹介していきたいと考えています。

丸8年がたったとはいえ、まだまだ道なかば、課題もたくさんありますが、
これからもますます楽しみながらビジネスを進化させていきたいと思います。

引き続き、おつきあいよろしくお願いします

新年のごあいさつ

新年あけましておめでとうございます。
営業チーム強化コンサルタントの庄司充です

今年は元旦から晴天にめぐまれて春のような陽気でしたね。
わたしは3が日、実家のある仙台に帰省していたのですが、
東北とは思えないほど暖かく、上着を脱いで街を歩いていた
ほどでした。

こんなウキっとした気持ちで1年過ごせるといいですね。


さて、わたしが講師を務める日本経営合理化協会主催で全3講の
「営業マネジャー養成講座」が昨年12月からスタートしました。

東北や北陸から九州まで、全国から経営者や営業幹部の方々が
ご参加いただき大いに盛り上がりました。

日本の会社の営業リーダーというのは多くの場合、自身が営業マン
として売れたという実績を評価されて昇格するのですが、リーダー
として何をすればいいのかについては教わらないケースがほとんど
です。

教わらないというよりは、会社自体にノウハウがないために教えられない
というのが実態なのでしょう。

だから、講義のはじめに「リーダーの仕事を一言でいうと何だと
思いますか?」という質問をすると、その時点で早くもみなさん
「う〜ん」とうなってしまいます。


リーダーの仕事は「チームを動かして、目標を達成すること」です。


しかし、「自分が売る」ということと「チームを動かす」ということは、
まったく別のスキルが必要です。

それがわからないために、自分が売れていた人ほどリーダーになった
とたんに


「なんでみんなおれみたいにできないんだろう・・・」


と、頭をかかえてしまうのです。

だから、講義のなかでリーダーの役割と仕事の進め方を体系的にまとめた
内容をお伝えしていくと、「あっ、そうだったのか!」とばかりに、みなさん
みるみる目を輝かせはじめてグイグイこちらに熱い視線を送ってくれるように
なるのです。

この瞬間がセミナーや講座のだいごみかもしれません。

懇親会の場でも、みなさん次から次へ質問をされてきてその熱心さに
わたしのほうが驚いてしまいました。

チームをイキイキと動かすために必要なのが「マネジメントの技術」です。
マネジメントはチームが力を合わせるための技術です。

リーダーがマネジメントの技術を身につけて指揮をとればチームは確実に
変えられます。

クライアント企業のみなさんがイキイキと変化していくすがたを見るのは
コンサルタント冥利につきます。

今年も1社でも多くの企業に「強いチームのつくり方」をお伝えできるよう
全力をつくします。

おつきあいよろしくお願いします。

がんばったつもりがない?

営業チーム強化コンサルタントの庄司充です

2週にわたってお送りしてきた新しいパートナーコンサルタント
宮地幸夫さんのインタビューもいよいよ完結編です。


「人と同じことはやりたくない」という思いから試行錯誤のすえに
独自のパターンをつくりあげ、32クォーター(約8年)連続目標達成
というとんでもない記録を残した宮地さんですが、本人はがんばった
つもりがないというのです。

今回はここから

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庄司「それにしても8年間一度も目標はずしたことがないって
すごいことですよね。まるでヒクソン・グレーシーじゃないですか。
宮地さんが目標をはずしたところを誰も見たことがないわけですもんね。」


宮地「うん、でも自分ではがんばったつもりもないんだよ。」


庄司「えっ?」


宮地「なんていうか、どこかにかくれてるお客さんを探しあてる
ゲームをやってるっていうか、自分はこれといった趣味もない人間
だから、営業が趣味みたいな感じでおもしろくて仕方がなかったんだ。
だから営業の仕事で気合とか根性とか思ったことがないんだよね。」


庄司「う〜ん、営業が趣味って、ものすごく宮地さんっぽいですよね。
世の中の営業マンが聞いたらびっくりしますよ。営業って、いまだに
多くの人が気合と根性の仕事と思ってて、やりたくない仕事のトップ
クラスですからね。」


宮地「そうなんだよね、だから自分はそうしたまちがったイメージを
払拭して、営業にたずさわる人たちに仕事を心から楽しんでもらえる
お手伝いができたらいいなと思ってるんだよ。」


庄司「ほんとですね、わたしも宮地さんといっしょに仕事ができるのが
ものすごく楽しみです。長い時間ありがとうございました。」


宮地「ありがとうございました。」


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★宮地幸夫からのごあいさつ


メルマガ読者のみなさま、こんにちは!宮地幸夫(みやち ゆきお)
です。インタビュー記事をお読みいただき、ありがとうございました。

わたしは、社会人になってから30年以上にわたって営業の仕事をして
きました。

営業という職種はなんのために存在するのだろう・・。
営業職として世の中に貢献できることはなんなのだろう・・・。

いつも、そんなことを考えながら仕事に取り組んできました。

昨年、あるきっかけでリクルートの後輩だった庄司さんと20数年ぶりに
再会し、彼が現在「企業の営業チームを強化するコンサルティング」に
取り組んでいることを知りました。

興味がわいてきて、実際のコンサルティング現場も見せていただきました。

そこで、クライアント企業の経営者や営業マンたちが少しずつ、
でも確実にイキイキと変化していくのを目の当たりにして

「この取り組みは、これまで自分がやってきたことを活かして多少なりとも
社会に貢献できるのではないか。」

そんな強い思いにかられ、ぜひいっしょにやってみたいと思うにいたり
ました。

今後は庄司さんと力を合わせて、努力とか根性といった抽象的で意味不明な
言葉が飛び交う営業現場に、思考と行動の「正しいルーティン」を示して、
「営業ってこんなにおもしろいんだ」ということをひとりでも多くの方に
お伝えしていきたいと考えています。

これから庄司ともどもよろしくお願いいたします。

連続達成なのにまさかのダメ出し

営業チーム強化コンサルタントの庄司充です

前回から、新しいパートナー・コンサルタント
宮地幸夫(みやち ゆきお)さんへのインタビューを
お届けしていますが、さっそくあちらこちらから大反響!

ビジネス誌の「ビッグトゥモロー」からも取材の依頼がきて
しまいました!この件は、また追ってお伝えしますね。

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宮地さんは、リクルート時代のわたしの先輩で、営業マンとして
個人の売上目標をなんと32クォーター(約8年間)にわたって
連続で達成し、リクルートグループ最年少で役員になったという
伝説的な実績をお持ちの方です。

新会社設立の情報をいち早くキャッチして大型受注に結びつけることで、
一発で目標達成をするパターンをあみだし、連続達成の道を歩み始めた
宮地さんでしたが、なんと上司からダメ出しをされてしまったそうなん
です。

今回はここから

――――――――――――――――――――――――――――――

庄司「えっ?ダメ出しですか・・・」


宮地「そう、ほめてもらえると思ってたところにいきなりダメ出し
されたんだよ。」


庄司「なんて言われたんですか?」


宮地「新会社なんていつでも都合よくできるもんじゃないんだから、
それだけにたよってたらダメだって。」


庄司「う〜ん。」


宮地「言われてみればそうなんだけど、ただ当時は1980年代の中ごろで、
産業界全体のコンピュータ化が一気に進み始めた時代だったから、
金融機関を筆頭にまず社内にシステム部門ができて、そこが子会社化して
いくっていう流れだったんだよね。

だから、新会社設立の流れは途切れるどころかどんどん加速していった。」


庄司「上司より時代の流れを読んでたんですね。」


宮地「日経新聞をすみからすみまで読むのが趣味だからね。(笑)
まあ、一瞬ムカッときたんだけど、そう言われてみると上司の言うことも
一理あるなっていう気がしてきて、

だったら新会社ができるのを待ってるだけじゃなくて、
もう一歩進めてこっちから攻めてみようと思ったんだ。」


庄司「と、言うと?」


宮地「うん、たとえばA銀行がやるんなら、とうぜんB銀行もやるだろう。
銀行がやるんなら、とうぜん保険業界もやるだろう というように予測して、
新聞に載るより前に先回りしてアプローチするようにしたんだ、

『御社もシステム部門をつくられますよね、採用のお手伝いをしたいんですが』
って感じで。」


庄司「なるほど」


宮地「しかも、システム部門をつくって、子会社化して、独自に人材の
採用を始めるっていうパターンはどこでもいっしょだから、事例もたまって

どんどんコンサル的なアドバイスをしてあげられるようになって
いったんだよ。

それで、ますます信頼してもらえるようになっていくんだよね。

たとえば、『たんに技術系の人を採用してもうまくいきませんよ、はじめから
システム系を希望してる人を採りましょう。』みたいな。」


庄司「そうやってどんどん営業が進化していくんですね、いやあレベルが高い。
ぼくなんか当時(80年代)はそんなことまったく考えずに、ビルの上から下まで
『どうですか、どうですか?』ってアホみたいに飛び込みしてましたよ。(笑)」


宮地「いやあ、あのころはみんなそうだよ。ただ、人と同じことやってても
人と同じ結果しか出ないでしょ。

自分はとにかくまわりからうるさく言われるのがいやだったから、人と
ちがうことをやりかったんだよ。

いつも、人がやっていないことでいい方法はないか?そういうことばっかり
考えてた。」


庄司「なるほど〜、それが8年間目標を達成し続けた秘訣ですね。
それにしても8年間一度も目標はずしたことがないってすごいことですよね。
まるでヒクソン・グレーシーじゃないですか。
宮地さんが目標をはずしたところを誰も見たことがないわけですもんね。」


宮地「うん、でも自分ではがんばったつもりもないんだよ。」


庄司「えっ?」


次回に続く

ダメ営業が、連続達成男に変身?!

営業コンサルタントの庄司です


前回お伝えしたとおり、新しいパートナー・コンサルタント
宮地幸夫さんへのインタビューをお届けします。

宮地さんは、リクルート時代のわたしの先輩で、営業マンとして
個人の売上目標をなんと32クォーター(約8年間)にわたって
連続で達成し、リクルートグループ最年少で役員になったという
伝説的な実績をお持ちの方です。

では、どうぞ!


☆宮地さんインタビュー


庄司「もともとリクルートに入ったきっかけは何だったんですか?」


宮地「学生時代に『どこか時給のいいバイトないかなあ・・・』と
探していたら、新聞広告に日給が通常の倍のところがあって、
応募してみたらそれがリクルートの営業アルバイト職だったん
だよ。」


庄司「じゃあ、リクルートがどんな会社で、何をやってるかとか
知らなかったんですか。(笑)」


宮地「うん、ぜんぜん。だから自分が何をするのかまったく知らな
かった。(笑)」


庄司「ただお金に目がくらんだと。(笑)それではじめはどんな感じ
だったんですか?」


宮地「担当したのが「リクルートブック」や「週刊就職情報」といった
当時の求人雑誌の広告営業だったんだけど、いきなり電話がけと
飛び込みの毎日。研修なんかは特になくて先輩の見よう見まねで
はじまった。」


庄司「ああ、あのころはそうでしたねえ。こんなんでいいのかなって。
それで売れましたか?」


宮地「いや、それがまったく売れない(笑)3ヶ月間受注ゼロが続いた。」


庄司「あらら。」


宮地「もともと口下手だから、社内で練習をするロープレでも『声が小さい』
とか『話し方が暗い』とか、さんざんな言われようだったよ。(笑)」


庄司「へええ、宮地さんにもそんな時代があったんですねえ。その後の実績を
考えたら逆に貴重なエピソードですね。それからどうなりましたか?」


宮地「このままじゃあクビになるかもなあって思って、だったら自分の
やりたいようにやってみて、それでダメだったらあきらめようと
思ったんだよね。要するに開き直ったわけ。

それでまずやりはじめたのが休みのあいだに新聞や雑誌の求人欄の
切り抜きをつくること。

ほかの営業マンは月曜日の朝、会社に来てから求人している会社の
リストをつくるから、休みのあいだにつくっておいて月曜の朝一で
電話すれば、他の営業マンがかける前にかけられるでしょ。」


庄司「なるほど。言われたことをやるだけじゃなくて自分なりの工夫を
はじめんたんですね。」


宮地「そうそう。そうしたら案の定、今まで「うるさい!」とか
「何人かけてくるんだ!」とか言われてガチャ切りばかりされて
いたのが、少しずつアポが取れるようになってきた。

それで、休みの日に新聞から情報を得るのが楽しくなってきて、
次に目をつけたのが「新会社設立」の情報だったんだよね。


庄司「ああ、それ覚えてます!」


宮地「求人欄だけじゃなくて新聞をすみずみまで読んでいると、
ときどき片隅に小さく新会社設立の記事が載ってるんだよね。
新会社だから今すぐ人の募集をするわけではないんだけど、
軌道に乗ってきたら必ず人を採用する時期が来るだろうと思って
アプローチをしてみた。

そうすると、とうぜんほかの営業マンは誰も来てないから簡単に
アポが取れて、しかも今後の事業展開について詳しく教えてくれたり
するわけ。

これはおもしろいってんで、次々に新会社にあたっていたら、
どんどん見込み客がふえていって、そのうち事業拡大をする会社が
出始めたと思ったら、リストの会社から次々に採用をはじめたいって
いう会社が出てきた。」


庄司「そこがすごいですよね。あのころの営業マンはすぐに受注にならない
案件はあまり追わなかったですからね。そのへんからですね、連続達成が
はじまったのは。」


宮地「うん、それでしばらく達成が続くんだけど、そこで上司にダメ出しを
されるんだよね・・・」


庄司「えっ?ダメ出しですか・・・」


次回に続く

あの人がパートナーに!

こんにちは、営業チーム強化コンサルタントの庄司 充です。
たいへんお待たせいたしました。今月からブログを再開します。

さっそくですが、新しいパートナーコンサルタントを紹介します。
その人の名は・・・

宮地幸夫(みやち ゆきお)さんです!

宮地さんは、リクルート時代のわたしの先輩で、営業マンとして

個人の売上目標をなんと32クォーター(約8年間)にわたって
連続で達成し、リクルートグループ最年少で役員になったという
伝説的な実績をお持ちの方です。

宮地さんの連続目標達成の様子は、一時期わたしも間近で見ていたので
はっきり覚えているのですが、チマチマ数字を積み上げて達成するのではなく、
締切日の間際になって大型受注をまとめてドーッンと入れて、一気に達成して
しまうという強烈なものでした。

ときは1980年代のバブル絶頂期、わたしをはじめ多くの営業マンが
深く考えることもなく、つくり笑顔でひたすら件数を回ればなんとか
なると思っていた時代に、走り回っているわけでもなければ、笑顔を
ふりまいている様子もない宮地さんが、まるで計ったように目標を
達成してしまうのです。

「なんで、そんなことができるの・・・」

当時、20代の若造だったわたしには、それがまるで魔法のように見えました。
今にして思えば、

・ターゲットを明確に選定して

・情報を集められるだけ集めて

・じっくり信頼関係を構築して

・顧客と課題をがっちり共有して

・最高レベルの解決策を提案する

という、今の市場でも十分に通用する営業の基本を、当時から徹底的に
実行されていたんですねえ。

その後、「ガテン」の立ち上げや、某企業の上場への尽力といった経験を
されてさらにパワーアップした宮地さんが、わたしがやっている

営業コンサルタントのビジネスに共感していただき、パートナーコンサルタント
としてお手伝いいただくことになったのです。

これまで8年間、コンサルティングに関してはほぼ一人でこなしてきた
わたしにとって、これほど心強い味方はありません。

今後の展開がものすごく楽しみです。

と、いうことで、紹介をかねて次回は宮地さんのインタビューを
お送りします。

リクルート時代のエピソードや、どんな思いで営業の仕事に取り組んで
こられたのか?といったお話をたっぷりとお聞きしました。

日経新聞の熟読が趣味という宮地さん

「がんばろうとか、気合とか思ったことない」

「営業はお客さんを探しに行くゲームだと思ってる」

などなど、興味深いお話が盛りだくさんです。

お楽しみに!