細かく行動目標を設定することで「行動をほめる」ことができる


新年あけましておめでとうございます。
 
元日は、1年でいちばん街にストレスがない日かもしれませんね。
 
なんだか空気まで澄んで感じます。
 
 
 
今年も楽しくいきましょう!
 
 
 
■あなたは営業マンを「ほめる」ことができますか?
 
 
 
前回は、「結果を責めるよりも、できたことを褒めよう」という話をしました。
 
 
 
リーダーの使命は、力を合わせて目標を達成することであり、まんなかの8割に該当する人たちを、いかに高いレベルで戦力化するか が重要で、そのためには、途中でできたことをほめながら次の課題にチャレンジさせるというのは非常に有効な手法なのだ――ということが主旨でした。
 
 
 
このような話をすると、「そうは言っても、今までメンバーをほめたことがないし、うちの連中はほめるところなんかないんですよ。」と言う方が必ずいらっしゃいます。
 
 
 
これは、「ほめる」ということの意味を根本的にまちがえていることが原因です。
 
 
 
■未経験の営業マンを戦力化する流れ
 
 
 
「ほめる」というのは、メンバーを甘やかすことでもなければ、ごきげんをとることでもありません。
 
もちろん、そんなことは一切必要ありません。
 
「君はいいやつだ」とか「頭がいい」というように、人間性や抽象的な部分をほめてもなんの意味もありません。
 
 
 
では、何をほめればいいのか?
 
 
 
それは「具体的な行動」です。
 
 
 
新人の営業マンが、契約を取るための一連の行動ができるようになるまでには、相当の時間を要します。
 
企業によっては1年近くかかるところもあるようです。
 
 
 
ところが、わたしが経験したリクルートスタッフィングの営業アウトソーシング事業では、
 
未経験の派遣スタッフをたった2日間の研修で戦力化していました。
 
 
 
たとえそれがどんな商品であってもです。
 
なぜ、そんなことができたのか?
 
 
 
それは、事前にその会社のリーダーとトップ営業マンを集めて、彼らが契約を取るためにやっている行動をこと細かに聞き出して、それを誰でも分かるように整理して標準化していたからなのです。
 
 
 
これを「行動分解」といいます。
 
 
 
とうぜんのことですが、結果は途中の行動によって決まります。
 
途中の行動がまちがっていると、どんなにがんばってもいい結果は出ません。
 
 
 
とくに今の日本のような成熟市場ではなおさらです。
 
 
 
だから、「もっとがんばれ!」「やる気を出せ!」といった叱責は、ほとんど意味がないばかりか、メンバーをつぶしてしまうことにもなりかねないのです。
 
 
 
メンバーが求めているのは、精神論ではなく「どうすればうまくいくのか?」という「具体的な行動」を教わることです。
 
 
 
わたしがリクルート・スタッフイング時代に実践していた、未経験の派遣スタッフを戦力化する流れを簡単に説明します。
 
 
 
事前にその会社のリーダーとトップ営業マンを集めて聞き出した内容を
 
 
 
 アプローチ→信頼関係作り→ヒアリング→プレゼン→クロージング→アフターフォロー
 
 
 
というように、大きなプロセスに分解します。
 
 
 
次に、各プロセスごとに
 
 
 
・目的
 
・実施内容
 
・使うツール
 
・注意するポイント
 
 
 
を整理していきます。
 
 
 
さらに「アプローチトーク」のように重要なものはマニュアル化して共有します。
 
 
 
このようにトップ営業マンの行動をある程度整理することで、経験がなくてもマネができる行動パターンができあがります。
 
 
 
その行動パターンを約2日間の研修で徹底的に叩き込むのです。
 
 
 
だから、彼らには「何をすればいいのかわからない」という迷いがありません。
 
迷いのなさは高いパフォーマンスを生み出すための大きな要素です。
 
 
 
途中の説明が長くなりましたが、このように「何をすればいいのか?」を明確にしたうえで、「具体的な行動をほめる」ということが重要なのです。
 
 
 
人はほめられた行動は自信を持ってくり返すことができます。
 
 
 
つまり、わたしがお伝えしている「ほめる」ということは、メンバーに「その行動は正しい行動だよ」という合図をひんぱんに送ることで、迷いなく行動できるようにしてあげるということなのです。
 
 
 
たとえば新人に、1日20件に電話をするという行動目標と、1件アポを取るという結果目標を与えたとします。
 
彼が1件もアポを取れなかったとしても、20件電話をすることができたらまずそのことをほめてあげることが重要なのです。
 
 
 
アポがとれなかったことを責められるより、20件電話をしたことをほめられることで、「次はアポがとれるようにもっとがんばろう!」という気持ちが生まれます。
 
そこですかさず、具体的なアドバイスをすることで効果は倍増するのです。
 
 
 
契約というゴールは、途中の行動の積み重ねです。
 
結果だけを見て、うまくいかないことを責められると、どこが正しくてどこがまちがっているのかさえわからなくなって身動きがとれなくなってしまいます。
 
 
 
行動分解をして、細かく行動目標を設定することで、「行動をほめる」「小さな進歩をほめる」ことが可能になります。
 
 
 
リーダーのこうしたきめ細かいサポートが、メンバーが劇的に変化する要因をつくり、強いチームができあがっていくのです。
 
 
 
「ほめる」ことがむずかしいと感じたら、自分自身が営業プロセスを分解できているかを問い直してみてください。
 
 
 
最初に取り組むべきことは、そこからです。