営業マンの行動仮説から始めてみましょう。

 
 
前回は、営業マンを結果で責めても売れるようにならない、行動仮説を立てて、それと営業マンの実際の行動とのギャップを見て、足りないところをアドバイスしていこうという話をしました。
 
 
なお、行動仮説とは下図のようなものです。
 
 
 
 
● わからない時は「気合い」で?
 
 
 
さて、前回のような話を333営業塾代表世話人・森川滋之さんにしたところ、彼が1つだけ分からないところがあると言うのです。
 
 
 
行動仮説を立てて、それに基づいてアドバイスをするということはよく分かる、でも(図の中の)「商談率 20%」とか「契約率50%」とかという数字はどうやって決めるのかが分からない、というのが森川さんの疑問のようです。
 
 
 
「それは、今まで続いてきた会社であれば過去の実績があるはず。それを基に決めればいいんですよ」と僕が答えると、まだ食い下がってきます。
 
 
 
「その会社は営業力に自信がないから庄司さんに依頼するわけでしょう? だったら、そんな実績をベースに考えていいんですか?」
 
 
 
「それは、過去の平均で決めるんじゃないんですよ。トップの営業マンがいるでしょう?彼の実績をベースに考えるんです」
 
 
 
「なるほど。でも、トップ営業の実績で決めたら、他の営業マンはついてこれないのでは?」
 
 
 
「トップ営業マンの実績をそのまま採用するのではなく、その何割にするかというのを話し合って決めるんですよ」
 
 
 
「話し合うと言っても、どうやって決めるんですか?」
 
 
 
「最終的には、"気合い"です」
 
 
 
森川さんは続けて質問をしようとしましたが、彼の疑問に思うところがなんとなく分かったので、最後まで聞いてもらうことにしました。
 
 
 
● 仮説なので都度見直していく
 
 
 
「たとえば、過去のトップの実績が商談率30%で契約率が70%だったとしましょう。それを見て、だったら頑張れば商談率20%で契約率50%ぐらいいけるんじゃないかと、まずは決めてしまうんです。それが"気合い"の意味です。無理はダメだけど、背伸びすれば届くんじゃないかというあたりに設定するのがポイントです」
 
 
 
森川さんは黙って聞いています。
 
 
 
「で、実際にやってもらうんですね。全員がどれも無理ということなら、所詮仮説なんだから見なおせばいい。少し下方修正します。ただ、実際にやった経験では、それぞれ上回る人も下回る人も必ず出てくるんですよ。で、上回っている人の体験を全員で共有して、下回る人が参考にしていけば、だんだん一定の値に落ち着いてくるものなんです」
 
 
 
「なるほど。業界平均みたいなデータがあって、それに基づいて決めるのかなと漠然と思っていたのですが、答えは社内にあるということなんですね」
 
 
 
「そうなんです。その答えを見つけることが"仮説検証"の本当の意味なんです。そのためには最初に"気合い"で行動目標を決めるんですよ。その後は、データに基づいて科学的に修正していけばいい」
 
 
 
森川さんはこれで理解してくれたようですが、いかがでしょうか?
 
とにもかくにも、最初に行動仮説を立てないと検証も、それに基づくアドバイスもできません。
 
 
 
もし、あなたの会社やチームが営業目標を立てるところまでしかやっていないのであれば、まずは「気合い」で行動仮説を立ててみましょう。